先日 少しだけこのブログでも触れさせていただいた、日本国内で 唯一日本橋『三越』本店のみのサービスなる、
イタリアのアウトソールメーカー『Vibram/ヴィブラム社』公認のカスタマイズサービス Vibram「ソールファクター」をより理解していただくために、三越紳士用品雑貨のインスタグラムの企画で ファッション業界の著名人を招き入れ、実体験レポを行うといったシリーズに
光栄にもご招待されたわたくし小川カズでありますが、その初期段階でありますまずはどんな靴をリペアしてもらいたいと『三越』本館2階のシューズコーナーに持ち込み、 どのソールのどんなカラーにカスタマイズするのかを決めた時の模様を少しだけご紹介させていただきます。
まずこのコロナ禍による不規則な生活態度によりまんまると太ってしまった僕が(苦笑)持ち込んだ 肝心の靴はというと、どちらにしようかと迷った結果、とりあえず2足とも持ってきてしまった、両者共に 1884 年にアメリカのマサチューセッツ州で創業したアメリカントラッドを代表する紳士靴ブランド『Alden(オールデン)』のもの。
まずは『Alden』の代名詞とも言える『HORWEEN(ホーウィン)』というアメリカのタンナー(皮革の製造会社)が製造する、「革のダイヤモンド」とまで呼ばれるコードバン(馬のお尻の革)を使用した、バーガンディーカラーのサドルシューズ…確か僕が30歳ぐらいの時に『International Gallery BEAMS』で購入した記憶が残っております。
そしてさらにそれよりも10年以上 大昔の…多分 まだ若干19歳のアシスタント時代に、清水の舞台から飛び降りる思いで手に入れた
『オールデン』を代表する木型のひとつ「モディファイドラスト(Modified Last)」のブラックカーフ…つまり約35年以上も前の靴となるわけですが、履く回数こそ限られるものの、まだ全くの現役バリバリ!!
それも履き込むことによって個性的な履きじわや艶を生み出し、経年変化を楽しめる『Alden』ならではの強み。
そして何と言ってもこの靴の特徴といえば、元々は足に障害を持つ方に向けて作られた医療用矯正靴が基本になっておりますんで、この見た目のアメリカブランドらしい無骨なデザインからは想像ができない 、まるでスニーカーのような恐ろしいほどの履き心地の良さ!!
まだ『BEAMS』でさえ扱っていなかった『Alden』を いち早く店頭で売り出していたのは、当時 渋谷区神宮前3丁目交差点付近で『KANEMAN CO., LTD.(金万)』が経営していた、今は無き あの伝説のParisのセレクトショップ『HEMISPHERES( エミスフェール)』の姉妹店『HARRIS(ハリス)』…まだ誰も『Alden』なんて知らなくて、僕自身もその頃からすでにヨーロッパナイズされた繊細なデザインの靴が好きだったもんだから、最初に手にした時はひとつも心に刺さらなかったんですが、店長から「とにかく騙されたと思って履いてみなよ〜もの凄い履き心地で超楽チンだから…。」と言われ、わずか一ヶ月¥30000の給料を切り詰めて やっとの思いで購入した思い出深い一足…。
実は 当時 飛ぶ鳥を落とす勢いであった、この『KANEMAN CO., LTD.(金万)』の金子誠光社長と、その兄である「スーパーカジュアル」という言葉の生みの親で 今は亡き『STOCKMAN,.CO.LTD』創業者の故 金子順持氏の実家は、僕が生まれ育った神宮前3丁目に今もあるウエスタンショップ『Bailey STOCKMAN(ベーリー・ストックマン)』(順持氏が初めて手がけた洋服店)の場所で長年布団屋さんを経営するご家族で、いきなり息子二人が 布団屋を閉め、野のものとも山のものともわからないアパレル会社を立ち上げた時は、 近所でもとても心配の声が上がっていたのを幼きながらに僕も未だよく覚えておりますが(苦笑)、その後 『ストックマン』が独占契約を果たしたフランスの『Marithé+François Girbaud(マリテ+フランソワ・ジルボー)』のペダルプッシャーという自転車乗りのための短めのデニムが大当たりし、続いて『HEMISPHERES』『HARRIS』と、一躍ご兄弟共に日本のファッション業界に一石を投じる事になります。
余談ですが 布団屋さんを引退した金子さんのお父様が、 後に青山付近を中心に 趣味で珍しいロンドンタクシーの運転手として活躍していたのも有名な話…とにかくお店が僕の実家から目と鼻の先なもんで、うちのオフクロとも仲良かったんですよね〜笑。
そして誠光社長のご子息デニスと妹のシンディは、現在Hawaiiに移住し『banGo by THE 1st SHOP』というブランドを立ち上げ、今もALOHAな服作りに没頭する日々をおくっているとのこと…日本のファッション業界に多大な影響を及ぼした金子ブラザーズの血はまだまだ途切れることはございません。。。
話はだいぶ横道に逸れましたが、(苦笑)というわけで 結局は2足ともカスタマイズしてくださるということなので 甘えさせていただき、そんな当時を振り返りながらこれらの靴たちの思い入れをインタビューされつつ 選んだソールは、都会の濡れた路面での防滑性に優れたアウトソールのカテゴリーとなる「グリップオンウェット」というVibramソール…ただでも履き心地抜群の『Alden』が 、この雨で濡れたマンホールや大理石の床などでその力を発揮する最強のソールにカスタマイズされ、さらにどこまで楽チンシューズに進化を遂げるのか??
今から2週間後の仕上がりが楽しみであります。。。