1985年生まれの佐伯 悠太郎シェフは東京新宿三井ビルの『聘珍樓』で中華料理の世界に足を踏み込んで依頼、『福臨門酒家大阪店』、『赤坂璃宮銀座店』、香港で銅鑼湾の『聘珍樓』、湾仔『家全七福(旧福臨門酒家)』の他、各地の厨房に入り、その後広東省21市すべてのエリアを回って日本に帰国。
その直後、いきなり当時の大人気店 青山『楽記』のシェフに抜擢されたのはいいものの、日本で香港の味をそのままもってくる不自然さに違和感を覚え、再び香港に渡り、今まで学んだことのなかった「点心」の老舗名店で学んだ後、アルゼンチン、ペルー、メキシコ、キューバ、サンセバスチャンなどのヨーロッパから、東南アジア、オーストラリア、インド、ミャンマーと転々とした後に、再び香港で郊外にあるオーガニック野菜農家で働くことに。
そのときに、「アジアのベストレストラン50」で日本最高位となった『傳』の長谷川在祐氏のことを知り、帰国後 約1年間、『傳』にて和食を学んだ後に、最終的に何が自分らしい店なのかということが少しずつ見えてきた結果オープンしたのが
ココ『サエキ飯店』。。。
まだ30歳台だというのに、どんだけ凄いフットワークと経歴をお持ちなんでしょうか…恐れ入ります。。。
メニューもないし 全て任せなので、店の雰囲気的には佐伯シェフのご自宅のホームパーティーにお呼ばれしました的な感覚ではあるんですが、なんせカウンターがメインの (テーブル席は1席のみ。)約11〜12席しかないこじんまりとしたスペースなので、もちろん予約はほぼ取れません…💦💦💦。
奇跡的に予約が取れたこの日は
まずは台湾の珍しい紹興酒をストレートでちびちび…ただ情報不足で後から知ったんですが、自分が美味いと思ったものは、チャイニーズと関係なくとも なんでも取り入れる佐伯シェフですので、実は店の隠れた名物がジョージアワイン…それも僕の大好きなオレンジワインだということで、この日はそこをスルーしてしまい ホント後から愕然としました…涙。
気を取り直して、
完全ワンオペで黙々と作業をこなす佐伯シェフ…渾身のこの日のメニューをご紹介すると
ホクホク & サクサクの「穴子のフリットとタイ胡瓜の山椒ソース」、
味の深みが半端ない、マジで激ウマな「冬瓜と干しエビのスープ」、
かじり出したら止まらない「スペアリブの八角ソース和え」、
複雑な塩気を楽しむ「ハムユイとインゲンの卵焼き」、
苦瓜史上最高にヤバかった「広東苦瓜と豚肉、漬物の炒め物」、
とろっとろすぎて 箸ですくうのもひと苦労だった、ふわっふわの「太刀魚の蒸し物」、
苦手なはずなのに、めちゃ香ばしくてしゃぶりついてしまった「鴨の姿揚げ」、
苦手なはずなのに、ココナッツフレーバーで違和感なくいただけた「ラムの水餃子 ココナッツ沙茶醤添え」、
文句なしのパラッパラ「干し貝柱と卵の炒飯」、
これまた苦手な鴨ですが、あまりに日本で食べてる気がしないほど 本格的な味すぎて、一気にすすってしまった「鴨出汁麺」、
〆のデザートも容赦しません…なんじゃこりゃってほどに美味すぎ注意の「桃とタイバジルのアイスクリーム」…と、もうどう考えてもよだれもんでしょ??
ただ もちろん全てその日の気分でメニューを決めるので、これはこれでもう二度とお目にかかれないかもしれないんですが…苦笑。
あくまでもシェフが気に入ったお客を自宅に招く感覚なので、次回はいつ予約が取れるのか、全く読めないわけですが、高級食材のオンパレードのみで勝負する似非ミシュラン中華とは真逆の、ただひたすらシェフの頭に浮かんだ美味しいものだけを追求するそのスタイルに、本来のレストランのあるべき姿を、久々に省みることができました。
佐伯シェフが僕を嫌わずに(汗)、どうかまたいつか予約が取れますように。。。